[2023年8月最新版]アルコールチェック義務化に向けて必要な準備はある?押さえるべき点は?
最終更新日: 2023年8月8日
- 株式会社メンテモ CCO / Webアナリスト
- 冨樫 海斗
1997年生まれ。北里大学海洋生命科学部を卒業後、大手小売店にて店舗運営に従事。2021年に株式会社メンテモに入社。CCO (最高顧客責任者) に就任。メンテモのウェブマーケティングから加盟店獲得、お客様対応まで取り仕切る。4台の愛車を元に、様々なユーザーニーズを探り続ける。愛車はダルマセリカ(1977年式)、アウトランダー、サンバー、ワゴンR。
アルコールチェックの義務化について、しっかりと把握できていますでしょうか?
アルコールチェックは今まで緑ナンバーの車両を持つ企業を対象として実施されてきましたが、2022年4月1日より、白ナンバーの車両を持つ企業にも義務化がされました。
飲酒運転は法律で禁止されており、飲酒運転による取り締まりを受ける件数は年々減ってはいるものの、飲酒運転による事故が後を絶たないのが現状です。
アルコールチェックの義務化がより厳しくなった原因として、2021年に千葉県で起きた飲酒運転による交通事故が挙げられます。
飲酒したドライバーの運転するトラックにはねられて、下校中の児童5名が犠牲となってしまいました。
白ナンバーのトラックであったため、アルコールチェックが実施されていませんでした。
このような悲惨な事故が2度と起こってしまわないように、新たに白ナンバーを含めたアルコールチェックの義務化が進んでいます。
ざっくりとまとめると
- アルコールチェックの義務化が2022年4月と2023年12月1日からの2回に分けて実施される
- 社用車や営業車を保持しているほとんどの企業が対象となる
- 安全運転管理者の選任に加え、従来の業務にアルコールチェックを組み込まなければならない
- アルコールチェックを怠ると業務違反となる
- ドライバー、安全運転管理者へしっかりアルコールチェックについて意識させる
アルコールチェックの義務化とは?
アルコールチェックが必要になるのはどのような企業なのか、どのような項目が義務化されるのかを見ていきましょう。
自分の勤めている会社が対象となっているのか、しっかりと把握しておきましょう。
対象となるのはどのような企業?
アルコールチェックの義務化の対象となっているのは以下のような企業となっています。
- 乗車定員が11人以上の白ナンバー車の車を1台以上保持している
- 白ナンバー車を5台以上保持している
これは1事業所当たりの台数で、オートバイは1台につき自動車0.5台分として換算されます。
2022年4月から義務化されている項目
2022年4月から義務化がされているのは以下の2つの項目となっています。
- 運転前後のドライバーの状態を目視で確認し、酒気を帯びの有無をチェックすること
- 酒気帯びの有無を確認をした結果を記録し、1年間保存すること
現在義務化が進んでいる項目では、アルコールチェッカーを使用する必要はありません。
安全運転管理者を中心に、運転手が飲酒をしていないか、運転業務を行う前後にしっかりと確認をしましょう。
2022年10月から義務化が開始される予定でしたが、現在こちらはアルコールチェッカーの供給が間に合っていない関係で、義務化が当分の間、延期されることが決定しています。
※2023年8月8日現在、法律の施行日時が決定されております。2023年12月1日より施行いたします。
義務化されるのは以下の2つの項目となっています。
- 事業所にアルコールチェッカーを備品として用意する、出張先で車を運転する場合は運転者に携帯型アルコールチェッカーを所有させること
- ドライバーの酒気帯びの有無をアルコールチェッカーを用いて確認をすること
アルコール検知器の取扱説明書に基づいて、適切に使用・管理をする必要があります。
毎日確認しなければならない点として、
- 電源が確実に入り、正しく使用できること
- 損傷がないこと
があります。
アルコールチェックの義務化によって増える業務内容は?
アルコールチェックの義務化により、対象となっている企業が新たにやらなければならないことがあります。
安全運転管理者の選任
アルコールチェックが義務付けられている企業は、必ず安全運転管理者を選任しなければなりません。
安全運転管理者とは:自動車の安全運転に置いて必要になってくる業務を行う責任者のこと
安全運転管理者は社内の人であれば誰でも良いというわけではなく、以下の条件に当てはまる人でなければなりません。
- 20歳以上であること
- (副安全管理者が必要な事業所の場合、30歳以上)
- 運転管理の実務経験が2年以上であること
公安委員会が行っている講習を受けている場合は、実務経験が1年でも安全運転管理者に選任することができます。
しかし、過去2年以内に違反行為をしてしまった前科がある場合は安全運転管理者になることはできません。
安全運転管理者がやらなければいけない業務
安全運転管理者は、自動車の安全な運転を確保するために必要な当該使用者の業務に従事する運転者に対して行う交通安全教育その他自動車の安全な運転に必要な業務を行わなければならない。(道路交通法 第74条の3 第2項より)
道路交通法施行規則 第9条の10より、安全運転管理者の従来の業務は以下のようになっています。
- 運転者の状況把握
- 運行計画の作成
- 交替要因の配置
- 異常気象時等の安全確保の措置
- 安全運転の指示
- 運転日誌の記録
- 運転者に対する指導
これに加えて、今回からアルコールチェックの項目が追加されます。
運転者の状況把握・運転日誌の記録の部分でアルコールチェック・記録を行うのが1番自然に普段の業務に取り入れることができるでしょう。
アルコールチェックを怠った際はどうなる?
アルコールチェックを怠ってしまった場合は、安全運転管理者の業務違反となります。
公安委員会によって安全運転管理者の解任であったり、命令違反に対しての罰則がある可能性があります。
ドライバーが飲酒運転を行った場合は、運転者が罰されるのは当然ですが、代表者や運行管理責任者などの責任者にも罰則が科されます。
ドライバーが酒気を帯びていると知っていながら、社用車、営業車の運転を指示した場合には刑事責任となる可能性もあります。
科される罰則は以下のようになっております。
罰則内容
違反内容 | 処分 |
---|---|
事業者が運転手の飲酒運転を容認 | 14日間事業停止 |
飲酒運転による重大な事故の発生。また、事業者がアルコールチェックを法令通り行っていない | 7日間事業停止 |
警察から飲酒運転に関わる道路交通法通知があり、事業者が法令通りアルコールチェックを行なっていない | 3日間事業停止 |
飲酒運転が発覚 | 初違反:100日間車両使用停止 再違反:200日間車両使用停止 |
同乗者が免許を持っていた場合、この刑事処罰に加えて、運転者と同じ行政処分が科されます。
違反点数が加算され、免許取り消し処分を受けることになります。
アルコールチェックの義務化に向けての対策
アルコールチェックに必要な検査機はどのようなものを用意すればいいのか、何に記録するのがよいのかなどを詳しくご紹介します。
アルコールチェックシステムの導入
実はアルコールチェックには指定された機器等はありません。
呼気中のアルコールが正しく検知でき、結果が明確になるものであればどのようなものを使用しても大丈夫と法律に明記されております。
注意すべき点として、必ず検知器に息を吹きかける形式のものでなければなりません。
現在様々なメーカーから多くのアルコールチェッカーが販売されていますが、どのようなものを導入すればよいのかお悩みの方はこちらの記事も是非参考にしてみてください。
合わせて読みたい
アルコールチェックの記録方法
アルコールチェックの結果を記録しておく媒体に関しては特に指定されたものはありませんが、以下の項目をしっかりと分かりやすいように記録しておきましょう。
- 確認日時
- 確認者名
- 運転者名
- 自動車のナンバー
- 確認方法(対面でない場合は具体的な方法)
- 検査結果
- 備考
ノート等へ書き込んで記録をするより、パソコンやスマートフォンへデータとして記録しておく方が確認をしやすかったり、紛失する可能性を抑えることができるでしょう。
対面でアルコールチェックができない場合、電話等で直接声を確認する必要があります。従業員が多い会社では、その確認だけで時間が大きく取られてしまいますので、管理システムの導入で他の作業時間・負担の軽減がより一層求められます。
アルコールチェッカーと連動できる専用の管理システムを導入することでよりスムーズに記録をすることができます。
ドライバー、安全運転管理者への教育の徹底
安全運転管理者に全ての業務を丸投げするのではなく、安全運転管理者を中心とした組織全体でアルコールチェックの徹底をしていきましょう。
先ほど説明をしたように、ドライバーが飲酒運転をしてしまうと安全運転管理者や代表者も罰則を受けてしまう可能性があります。
事業所にいる全員がアルコールチェックのフローや置き場所等をしっかりと把握しておくことが大切です。
アルコールチェッカーの補助金の導入も検討しよう
トラック協会から、アルコールチェッカーに関する補助金も出ております。助成金制度を利用して、負担を少なくアルコールチェッカーの導入できる方法も検討してみましょう。
対象となる事業者は各都道府県によって異なるため、「対象かな?」と感じた方はお問い合わせをオススメいたします。
全日本トラック協会の連絡先はこちら
アルコールチェックの義務化へ向けて今のうちから準備をしておこう
今回はアルコールチェックの義務化へ向けて今のうちからやっておくべきこと、準備しなければならないことなどを詳しくご紹介させていただきました。
アルコールチェッカーを必要とする項目の義務化は現在いつからの実施になるかは未定となっていますが、準備は可能な限り早くするようにしましょう。
今回のまとめ
- 緑ナンバーだけでなく、白ナンバー車を保持している企業にもアルコールチェックの義務化される
- 乗車定員が11人以上の白ナンバー車の車を1台以上保持している、または白ナンバー車を5台以上保持している企業が対象
- 現在は目視での確認、記録が義務化されている
- 2023年12月1日からアルコールチェッカーを用いた検査が義務化されることが決定した
- ドライバーが飲酒運転を行ってしまうと、安全運転管理者、責任者も罰則の対象となる
- ドライバー、安全運転管理者共にアルコールチェックの徹底を意識する
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